参照HP⇒
http://www.piteraq.dk/flight/storch.html
http://www.asahi-net.or.jp/~FG5M-OGM
/avonlea/sarah_e.htm
   
             

             




          “美少女”

 [Kaori Takahashi↑]
 バードウォッチングなどという洒落た事ではないのだけれど、池のある公園で野鳥を眺めるのが日課だった時期がある。でも、本当は"探鳥のふり"をして、公園に集う可愛い少女達を観察するのが目的だった…なんて言ったら、(不可解な事件の多い昨今のこと、)人格を疑われてしまうかもしれない。だから勿論(半分は)、冗談だ。
 ついでに告白しておくが、その公園にはかれこれ10年以上も出没し、多分千人以上の子供達を観察してきた。でも、心に残るような美少女なんて片手で数える程しかお目にかかれなかったし、ましてやこの娘は本物
(注1)だ、と確信が持てたのはたった一人だけだ。
 ともあれ、特別に野鳥の種類が多い公園という訳ではないが、それでも(鴉鳩雀の御三家を別にして)十数種類は観察出来る。殆どは周年見られる連中で、椋鳥、尾長、雉鳩などが定番と言ったところだ。ついでだから、定番鳥(?)達の中で最もそれらしい、つまり一等「少女めいた」種類を挙げるなら、やっぱり白鶺鴒だろう。目白や河原鶸も愛らしいのだが、彼女たちは少女と言うよりは幼女的な魅力の範疇と言うべきだろう。(注,2)

                                                [Amelia Sharkley→]
 鶺鴒(セキレイ)にも何種類かあるが、最も普通に見られるのが白鶺鴒(ハクセキレイ)ということらしい。雀より一回り大きく、地上では長い尾をピンと立て、忙しげに振るのが特徴だ。温かな季節はくっきりとした白と黒のモノトーン模様が印象的だが、寒い時期には黒い部分が灰色に変る(冬羽)。腹面は白いのだが、首の下に子供の前掛けのような黒い部分がある。公園に集う小鳥の中でも、スッキリとしたグッドデザインだ。
 飛び方は、小型の鳥に共通な羽ばたきと弾道飛行(?)を繰り返す標準的なパターンだが、雀などに比べると結構優雅に見える。尾が長く、弾道飛行の時間が長めに感じられるせいだろう。また、このサイズとしては比較的俊足なのではないかと思う。少なくとも、見た目にはスピーディーだ。
 この鳥の魅力は、何と言ってもその仕草にある。主に水辺にやって来ては、長い尾をヒラヒラさせながら、わりあい狭い範囲を活発に飛び廻るのだ。鳴き声もまた、『チュチュチュンッ』と耳に心地よい。だからバードウォッチャーには人気が高く、高価な双眼鏡をぶら下げた同業者達(?)は、彼女を見付けると大いに喜ぶ。まあ眺めていて楽しいのは事実なので、そういう場合は調子を合わせておくことにしている。また、わざわざ探そうとすると、案外遭遇しづらい種類でもあるらしい。無為に時を過ごしている"探鳥爺"にとっては、良く見かける近所の可愛いお嬢ちゃん、程度の存在なのだが。
 さて、ある秋の午後、いつものように双眼鏡の視野に捉えた「美少女白鶺鴒」。アレッ?…一瞬視界から消えたかと思ったら、再びもとの場所に戻って、何やらムシャムシャ食べている。何のことはない、寒さでヘロヘロになった赤トンボを捕まえて、オヤツと洒落こんでいたのだ。おしまいには、残った4枚の羽根を「ペッぺッ」と吐き出した。
 なーるほど、太宰治が「御伽草子」
(注,3)で、カチカチ山のウサギを利発な美少女にナゾラエタのも、あらためて納得出来るナ…なんていう気障な台詞はさておき、白鶺鴒は見事なまでに"美少女的"なのだ。それも、多分に古典的な。(ついでながら、タヌキは“食い意地の張った小汚い中年男”として描かれている!嗚呼…)          [Sarah Polley→]

 ところで、我が敬愛する佐貫亦男博士は、(白)鶺鴒を『Ar196水上偵察機の渾名にピッタリだ』と書かれている。水辺に縁があり、尾羽根をピンと立てたイメージは、素晴らしい連想と言う他は無い。ただし、Ar196はあまり"美少女"的では無いようだ。水上機と美形とは、なかなか相容れない。
 或るデザイナーが、『Fi156とLolitaの相似性』について熱っぽく語ってくれたことがある。なるほど言われてみれば、Fi156
(←photo 注,4)は多分に"美少女的"だ。ほっそりした胴体に長い脚、そうして軽やかな飛びっぷりは、「コウノトリ」というドイツ人の付けた名前よりも、「白鶺鴒」の方がずっと似つかわしく思える。部分的には硬い線が見られるが、曲線で構成された機体より、この方がどこか子供じみた印象の残る少女の肢体を思わせはしないか?…などと,怪しげな連想が次々と湧き上がってくるのは、やはり少女の持つ魅力(あるいは魔性)のせいだろうか…     (StupidCat)
(注,1)小説「ロリータ」の語り手H.H.氏曰く,『“少女”の側も当然共犯者でなくてはならない』.
(注,2)仏蘭西のある人物曰く,『“少女”とは幼女と女性の間に位置する,未だ女にならざるもの』
     と定義される.
(注,3)古い御伽噺のパロディー,太宰の傑作のひとつ(と思う).
(注,4)WWUで独逸軍が愛用した観測/偵察機.Fieseler社製で愛称は“Storch”(シュトルヒ⇒
     こうのとり).かのロンメル将軍が愛用したことでも知られる.
(←"Alice" by John Tenniell )
【蛇の手】
 電脳会報2001年01号の付録で“NoseArt特集”をやったので、今回も“NoseArt美少女特集”を考えたのだが、残念ながらヒコーキと美少女とは縁が薄いのか、これといったネタは見当たらなかった.軍用機に女性像を描くのは,ほとんどが米軍機だから当然ではある.ディズニー・タッチの白雪姫やアリスを描いたB-2爆撃機,なんてオシャレだと思うのだが….もっとも,見る側のセンスによっては,「アホか!」と言われてしまうかもしれない.ユーモアと捉えれば,かなりブラックに映るだろうナァ〜.当然ウォルト・ディズニー・プロは,猛反発するだろうけれど.もっとも,ディズニーは,「不思議の国の゛アリス゛」も「大草原の小さな家の゛ローラ゛」もイッショクタにしてしまう傾向があって,あまり芳しくない."アリス"は,上の方の抽斗から出て来た少女だから魅力的なのだ(と筆者は考えているのだけれど)・………如何思われます?(stupidcat)

 ↑内緒の?場所へ
←LaunchersHPへ
 電脳会報06号へ→

←an additionへ戻る
 このウィンドウを閉じる→