参照HP⇒http://home.att.net/~dannysoar/home.htm

 バードウォッチングなどという酒落たことではないのだけれど,公園のベンチで野鳥を観察するのが日課だった時期がある.
 あいにく,これと言って話題になるような鳥は来てくれないのだが,一度だけ鷺の仲間らしいのが降りてきたことがある.多分ダイサギという種類だと思うのだが,池の淵でしばらく様子をうかがっていた.やがて,猫や子供が多いことに気付いたらしく,それっきり姿を見せなかった.



      "TwinPusher"


 公園に集まる鳥たちにはずんぐりしたのが多いから,時にはああいうスマートなヤツが来てくれても良いナ,と思う.だが,あいにく然るべき餌が無いから,仕方がない.
 合成樹脂の模型が普及する前は,模型ヒコーキの主流はフライングモデルで,スケールモデルは少数派だったようだ.
 中でも,俗に「A型」と呼ばれるタイプ
(タイトル図参照)が,競技会などで盛んに飛ばされていたらしい.一見すると左下向きに飛びそうに見えるが,実は右上に飛ぶ.つまりプッシャ‐(推進)型がこのタイプの基本で,だからA型と呼ぶ(牽引式ならV型になる)

←無尾翼機の元祖のDunneもプッシャ-形式だった
 この手のモデルとしては,二宮忠八の「カラス型」も仲間に入る.ものの本に拠れば,前方に引っ張る牽引式よりも,プッシャ‐型の方がプロペラ効率は高いのだそうだ.
 もっとも様々な要因で,こういうデータは変る.実機では,安全性を考えると採用しにくいようだ.何かあったら重いエンジンが後方から飛んでくるし,後ろに付いたプロペラは地上にいる者にとっても怖しい存在だ.性能云々より,使い勝手が今一つ良くないらしいのだ
(他にも様々な要因が考えられる)
 模型の場合は,発航がちょっと難しい.少年時代に(実機の)ツインマスタング型ライトプレーンを作った事があるが,手が2本では足りず膝や肘を動員する必要があった.本式の(模型)双発機ではどうしているのか,ずっと疑問に思っていたが,やはり人は考える葦だ.身近な道具を改造したギヤ付ワインダ‐で2本のゴムを同時に巻いてしまう.(巻末参照)
 巻頭のイラストを見てお気付きだろうが,プロペラは左右逆ピッチになっている.互いにトルクを打ち消しあって,双発として望ましい特性を示す
(WWUの国産機も,計画段階でこの方式を採る事になっていたが,量産時には諦めた.エンジン,プロペラとも部品数が増え,当時の工業力では無理だった)
↑朝鮮戦争で活躍(?)したF82.夜戦型が有名

 ちなみに,ライト兄弟の初期の機体はこの方式で,チェーン駆動だから構造としては単簡だった.ただしその為にパワーアップが難しく,後になって苦労したようだ.
 ざっと見た範囲では,TwinPusher模型は米国で人気が高いらしいが,案外ライト・フライアーに対する思い入れ?が関係しているのかもしれない.

   『もうこの頃はA型即ち「ツーイニング式」が氾濫していた.翼用薄絹と目つぶ
   し用のゼラチン,小壜入りのラバーリュ‐ブリカント,英国製十六番乃至二十番
   の糸ゴムが売出されていたから,…』(稲垣足穂「私のモデルプレーン」より)


 
これは大正の初め頃の様子だから,兄弟の初飛行から10年程しか経っていない時期の話だ.先尾翼(矛盾した言葉だが,エンテ型の意)で双発のプッシャ‐型が,ヒコーキのスタンダードと考えられたのは自然な事だったかもしれない.だいぶ後になっても牽引式は「逆様だよ!」と言われる事が多かった,という話も残っている.

 ←左の2図は,Wright兄弟のフライアー1号機体中央部.平面/側面を示す.
  いかにも効率の悪そうなプロペラに注目.ただし,左右で反転させているのがわかる.
 エンテ型は失速特性は良いが,重心の設定が難しい.A型では垂直尾翼を省略している例も多いが,上反角の設定等で何とかなるのだろうか?動力ゴムを胴体外側にセットするのは,巻く時に都合が良く,胴体の剛性確保が楽なせいだろう.単簡な図と写真から,色々と考えさせてくれる.

 たまには,こんな優雅な機体
(⇒)を作ってみたい気もするが,当然100%自作しなくてはならない.案外これは,国際級(注)を作るより大変な仕事になるかもしれない.多分,完成機もキットも(単簡には)見付からないだろうから.
                                    (stupidcat)
    ※注:世界/日本選手権を戦う国際的な規格で作られる模型飛行機
    ※このページ冒頭に紹介したHPを,ぜひ一度覗いて見ることをオススメします
【蛇の足】

                    @
                    A
ページ頭で紹介しているHPに,旧来の疑問を解く資料を発見した.
@ゴム巻きワインダ-の製作方法…模型飛行機では,主にハンドドリルを改造したワインダ−が用いられるが,ツインプッシャ−では「泡立て器」(!)を用いるらしい.2本のゴムを互いに反対方向に巻かなくてはならないので,ピッタリなのだろう.料理に縁のない筆者は,こんなモノが存在する事を知らなかった.電動なら,TVで見た覚えはあるのだが….
A改造はさほど難しくはなさそうだが,強烈な引っ張りにどう対処しているのかは不明.泡立て器では,本来それほど応力はかからない筈だ.伸ばされたクランク(ハンドル),引っ張りに耐えるグリップ(ボルト?)がわかる.構造によっては左巻きになるかもしれない.
Bワインディング・スタンドも,当然使われている.誰でも考えるコトは同じ.ワイアで引っ張りに対応しているのも同様.プロペラ押さえ機構がミソだ.当然,機体前方(写真右下方向)から捲くことになる.発航は,このまま両プロペラを持って押し出す.






B
【蛇の手】
 上と同じHPで見付けた,Mini‐TwinPusher.
 なんともはや,マニアというのは“ここまでヤルか!”の見本みたいな写真.“輪ゴム・ランチ”といい勝負…といっても分らないだろうが,わが国にも一部のマニアが一本の輪ゴムで飛ばすルールのCLG(カタパルト・ランチ・グライダー=パチンコ・グライダー)を楽しんでいる.モノズキの考えることは,洋の東西を問わずあまり変わらないということか?
 一見単簡そうに見えるが,実は大型機を作るのとは違った意味で難しいことは,手を使う遊びの経験者なら分るだろう.同時に,飛ばすのはもっと難しいだろう.まずゴム巻き器(ワインダー)作りから考え始めなくてはならない.『ゴクローサマです!』



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