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鉄腕アトムの妹をご存知だろうか?そう,ウランちゃんだ. |
▲斜め後方から見たElanのランニングシャーシ.鋼鈑を チューブ状に組上げた強固なフレームに抱かれたエン ジンは比較的後方に置かれ,重量配分を理想に近づけ ている.少量生産向きで,非常に合理的だ. |
“Elan”は,Lotusにとって初めての本格的な量産車だった(注@).前作の“Elite”では,ボディ全体をFRP製モノコックとする前代未聞の斬新な手法を採ったのに対し,Elanでは別体のフレームを用いている. 当時一般的だったのはラダーフレーム(梯子型)だが,Elanでは鋼板を立体的に組上げた強固なバックボーン型とし,これでシャーシの剛性を一手に受け持たせている.Eliteの純FRPモノコック(注A)では,耐久性・メンテナンス性の確保に難点があったし,生産性が悪すぎた.FRPは,手造り生産にならざるを得ない. 一方弱小メーカーに,完全な鋼板モノコック(注B)の生産は不可能だ.Y字型の立体フレーム(注C)は,この時点では理想的な解決策だったと言える. |
直接見るチャンスはまず無いこのフレームを,じっくり拝ませてもらった経験がある.模型的?とも言える構造だが,合理的で軽量・高剛性な事は素人が見ても分った.このクルマの設計者Collin Chapman(注D)は,確かに天才だったと思う.この設計は様々なクルマに影響を与え,トヨタ2000GTもその一台だった. 後サスペンションは独特なチャプマン・ストラット式で,これもまた合理性の極みと言える.通常のダブルウィッシュボーン式の上アームを省略し,ドライブシャフトにその代りをさせる形式は,大パワー車には向かないが,Elanには必要にして十分だった.もちろん,これも軽量・シンプル化に貢献していた. ▼シンプルかつ合理的なリア・サスペンション→ |
▲DOHCヘッドを載せた1,6gエンジン は,英フォードのブロックを流用.初期 型から一貫して2バレル・ウェーバー気 化器を2基装備する |
エンジンは,当時の英フォード社のブロック(注E)に自社製のツインカムヘッドを載せ,オリジナルより50%程パワフルだ(1558cc/115ps).絶対的な出力よりもレスポンスを重視したエンジン特性は,700kgに満たない車重に対しては適切以上だった.「クルマの楽しさ=持てるパワーをいかに活かし切るか?」という公式を英国人は知り抜いている.この小さく軽いクルマに,ラック&ピ二オン式ステアリングや4輪にディスクブレーキをおごっているのも,その現れと言える. 筆者が少〜青年期に現役だったクルマだから,残念だがドライヴする機会には恵まれなかった.ただしLotus車の原点とも言える“Seven”に乗った経験から類推すれば,このクルマが究極のドライヴァーズカーだろう事は断言できると思う.セブンと違って,ある程度の耐候性は確保されているからスーツを着たままでも乗れるし,パセンジャーも厭な顔はしない筈だ.(注F) |
あるオーナーは,「首都高で,前を行く車の間をすり抜けて行けるのではないかと思うほど…」意のままに操ることが楽しい,と言った.単に速いクルマはいくらもあるが,こんなクルマは稀だ. 故J.Crark(注G)が日常的に使っていたのもElanだったが,不世出の名ドライバーを納得させたトータルバランスの高さを凌駕するクルマは,その後造られていない.残念なことではある…. (StupidCat) |
▲故J.クラークの愛車Elan S3. ボディカラーはちょっと意外(注H) |
【蛇の足…注】 @Elan以前には,Mk.6,Mk.7…有名な“Seven”があった/A張殻構造の事,応力外皮構造とも言う/B大型のプレス部品を組立溶接で造られる/C単簡な部品で構成されるので,小規模少量生産が可能/DLotusの創立者で初代社長.競技用車の世界に技術革命を起こした事で知られる/Eシリンダーケース.このブロックは他の競技用エンジンにも流用された傑作?だった/F“Seven”の耐候性は低く,現代人の我慢の限界を超える.特に助手席は…/G不世出のGPドライバー.60〜70年代に活躍したが,F-2レースで不慮の死を遂げた/H当時Lotusのティームカラーは,明るいグリーンにイエローのストライプだった.このクルマをモノクロ写真で見た時は,当然グリーンだと思い込んでいた |
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