Launchers ランチャーズ会報2003年3/6号

●2002年記録会は6月22日(日)瀬谷広場(9:00〜12:00)
  2003年記録会は7月20日(日)水元公園(9:00〜12:00)です!

1.「翼端投げHLG」がどうやら本格的に実戦に登場。今年後半は猛威を振るう予感が
  しますがさて、さて・・・・。その前に、この投げ方の呼び名ですが「翼端投げ」「振
  り投げ」「円盤投げスタイル」「サル」等々様々あります。「振り投げ」の場合はどこ
  を掴んで振るかが意味不明ですし、「円盤投げスタイル」は言葉が長すぎる。「サル」
  はサイドスロー投げの短縮言葉の様でラジコン用語ですが感覚的に嫌いです。そこで提
  案としては元祖・石井満君が使っていた「翼端投げ」がその本質を表現していると考え
  ますが如何・・・。
  古来の投げ方は「槍投げ」等ありますが「野球投げ」で統一しては如何?

2.今年から夏場の飛行場として「水元公園」を付け加えました。これまでも「瀬谷広場」
  では集まりが悪いのです。水元公園は東京都葛飾区東水元にあり、隣は埼玉県三郷市。
  最寄り駅は常磐線「金町」から2.5km程北です。広さは瀬谷(200m角)より広
  く350mのほぼ円型の広場があります。地面は3m程起伏がありますが、草深くHL
  Gにもやさしいので、飛ばすのにはさほど気になりません。周りが森なのでデサマワー
  クは慎重に・・・。今回初めて飛びしてみての感想は合格です。HLGには十分な広さ
  で、且つ、駐車場は有料ですが十分な広さです。公園への入場は自由ですし、違法駐車
  でビクビクするより良いのでは。

 result
     @2003年4月記録会/CLG       A2003年4月記録会/HLG、
     B2003年5月記録会/HLG       C2003年5月記録会/CLG

 Information
     D松野氏逝去        E水元公園の紹介         Fランチャーズ合宿の案内

 Salon
     Gマクスウエルプロペラ工作法について・2  石井英夫
     H尻馬編・翼端投げHLG実技 3    Iグライダー・カーボン翼製作のヒント 

◆2003年4月記録会の結果(HLG/CLG4月HLG記録会報告                                             相沢・・・・@
  春の今シーズン最後を飾るにふさわしい記録会となりました。大八木選手が早々と5M
  AXを取り、追いついてくるのをじっと待つという展開となりました。福島でじっくり
  練習を積んできて3連続MAXで度肝を抜いた阿部選手は苦戦して、かろうじて10投
  目5MAX達成。井村選手は前日の深酒がたたって、これまた10投目で5MAX達成。
  円盤投げスタイルの吉敷選手は、新作機が今一決まらず1MAXのみ。上位常連の吉田
  選手は2MAX止まり。今回見せてくれたのは90cm級の円盤投げスタイルを決めた今
  関さん、8投目で5MAXを達成。
  フライオフは大八木、阿部、井村、今関の4選手で争うこととなりました。阿部選手は
  慣れないフライオフのせいか2投とも1桁秒で敗退、大八木選手は井村選手の心理戦略
  にやられ敗退。フライオフ1回目は井村選手、今関選手が120秒をクリアして2回目
  (3分MAX1発勝負)へ。これがなんと両者気合が入り過ぎ、仲良く5秒でフライオ
  フ3回目(3分MAX1発勝負)へ。  制したのはベテラン井村さん、立派でした。ギ
  ャラリーを大いに楽しまさせてくれました。
  今シーズンの最大の収穫は、円盤投げスタイルが開拓されたことでしょう。絶好調は吉
  敷さんです。圧倒的高度と、投げ上げの正確さは抜群です。マイウー,ご本人いわく『
  もうオーバハンドでは投げられない』そうです。もともとオーバーハンドでもいつも上
  位にいた吉敷さんですが、オーバハンドのときより高度もあり、安定しています。石井
  満さんが熱心に挑戦・開拓していたこの投法は、今年一挙に花開いたようです。高齢代
  表の古矢さんもこの投法専門になり、結構の高度で飛行させています。ハンドランチグ
  ライダーへの参加可能年齢高くしたようです。この夏、更に進化して秋の大宮で爆発す
  ることを期待いたしております。
  円盤投げは別種目では?という声を聞くこともありますが、私は動力なしで投げて飛ば
  すのですからHLGだと思います。ジャイロなどを使った自動操縦機でなければ、別種
  目にする必要はないと思っています。(相澤・記)

4月HLG記録会記録・ 大宮田んぼ、晴、気温20度、西風0〜1m/sec.(60秒MAX 10の5)
NO 氏  名   1  2  3  4   5  6  7  8  9  10  合計  F1    F2  F3  総合計
 1   井  村   60  45  43  60   60  39  60  38  58  60  300  58/120 05  64  489
 2   今  関   44  60  44  29   60  60  60  60  --  --  300  13/120 05  36  461
 3   大八木   60  04  60  60   29  60  60  --  --  --  300  47/28          347
 4   阿  部   60  60  60  38   45  11  41  60  36  60  300  04/07          307
 5   加  藤   26  51  60  26   60  44  55  46  60  32  286
 6   吉  田   46  53  26  60   60  59  54  45  51  35  286
 7   小  川   41  43  36  34   37  60  60  55  50  35  268
 8   吉  敷   57  41  09  39   57  32  51  60  43  42  268
 9   斎  藤   22  60  57  29   40  35  39  29  48  26  244
10   坂  下   39  50  54  42   33  50  39  44  29  32  240
11   津  守   06  42  40  36   55  46  31  29  30  53  236
12   平  尾   36  29  20  31   41  52  19  24  44  35  208
13   石  山   60  37  14  14   08  43  04  27  38   -  205
14   川  口   23  32  46  22   23  24  60  21  43  18  205
15   吉  の   22  07  25  14   49  44  22  31  26  45  195
16   相  澤   00  29  37  46   26  27  41  28  22  38  191
17   古  矢   07  10  20  12   12  10  34  16  20  25  115


4月CLG記録会報告                                             川口・・・・A
  今期最後の大宮たんぼ、天候に恵まれ参加13名と大盛況となり、大いに楽しみました。
  5MAXでフライオフに残ったのが、瀬谷の春山、ベテラン石井、和光の戸谷の3選手。
  強風中のドデカイサーマルにのって3選手共90秒をクリア。第2フライオフは石井選
  手がキケンして3位確定。春山、戸谷選手の一騎打ちとなりましたが、先手をとった戸
  谷選手なんと8秒、春山選手余裕で打って35秒。連続優勝オメデトウゴザイマス。
  吉敷boy & girl,川口boy のガキンチョ組も目いっぱい楽しんだようです。フライオフ
  をキケンしてまで飛行機を探しに行った石井選手、見事戸谷、春山機まで回収して下さ
  り大感謝です。

4月CLG記録会記録  ・大宮たんぼ、晴、気温18度  南〜北風1.5m/sec.(60秒MAX 10の5)
NO 氏  名    1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  合計   F1 F2    総合計
 1   春  山    60  60  60  60  60  --  --  --  --  --   300   90/35    425
 2   戸  谷    60  60  60  60  60  --  --  --  --  --   300   90/08    398
 3   石  井    60  60  46  40  52  60  51  60  60  --   300   90/00    390
 4   西  原    30  40  60  49  45  55  43  60  --  --   269
 5   河  田    54  37  38  47  51  39  44  50  48  60   263
 6   乙  川    30  30  50  48  60  11  49  24  46  53   260
 7   倉  田    60  30  33  44  17  19  33  38  30  33   241
 8   鈴  木    32  32  48  18  47  25  45  34  15  41   215
 9   川口(父)--  --  60  47  40  28  40  30  51  39   195
10   川口(子)33  06  38  30  46  22  41  26  06  27   188
11   加  藤    21  21  13  13  60  03  24  15  22  31   128
12   吉敷洋    11  10  05  12  17  10  10  16  12  13   070
13   吉敷真里  03  08  03  07  12  10  08  13  15  06   058


◆2003年5月記録会の結果(HLG/CLG)      
               
 5月HLG記録会報告                                              平尾・・・B
  初めての水元公園での記録会です。HLGには広さは十分で、地面も草深く機体には優
  しく文句ありません。但し、考えていたよりも気流は悪く、サーマルが解りにくいのと、
  30m前後の高度は気流は特に難しく記録が伸びない。しかし、勝負が早く付いて良い
  面もあるが・・・
  日頃のメンバーが来ていながら、この日はペーパープレーンの記録会と重なってランチ
  ャーズ記録会への参加者は少なく低調でした。優勝した吉田選手の記録も252秒と普
  段の値より低め。但し、参加者6名中5名が200秒オーバーと言うのは質の高さを著
  していると思います。    投げた時は相当な高度でサーマルに入ったのかと思うのです
  が、広場の中頃にさしかかるとスカスカと降りてアレアレと言う感じで、この日のMA
  X数は僅か4回/60投でした。
  出だし2MAXと良かった春山選手が229秒の2位、翼端投げの吉敷選手も224秒
  で3位、小川選手が216秒の4位、5位の斉藤選手が214秒と団子状態。平尾は展
  開スパン1mの翼端投げHLG他で参加しましたが、調整未了で150秒がやっとでし
  た。
  気流はともかく、思ったより広いので、HLGには飛ばしやすい場所です。又、サーマ
  ルに持って行かれにくいのは良いことで、安心して練習が出来ます。夏期の飛行場とし
  ては合格です。

  5月月例記録会記録HLG 5月25日(日)水元公園・晴/風北2〜3ms  60秒MAX
順位 選手      R1    R2    R3    R4    R5    R6    R7    R8    R9   R10   合計   
 1  吉田     39  60  35  38  47  40  36  60  32  45  252  
 2  春山     60  60  14  20  31  22  25  22  42  36  229
 3  吉敷     10  17  50  35  47  37  25  43  47  29  224
 4  小川     24  29  29  21  23  24  21  54  60  44  216
 5  斉藤     35  23  29  36  55  50  17  30  25  38  214
 6  平尾     30  25  18  19  20  24  04  41  34  19  154

 5月CLG記録会報告                                             佐藤・・・・C
  水元公園で初めてのランチャーズ記録会でしたが、記録的には低調でした。コンディシ
  ョンとしてはまあまあと思っていましたが、気流が意外に悪くMAXを出すのが大変で
  した。優勝は久し振りに長老の加藤さん、年代物の機体でしたが、上手く上昇気流を掴
  み3MAXを出しました。
  2位は倉田号の西原さん、3位は練習熱心な乙川さん、4位はエンテの佐藤、5位はフ
  ァイトマンの戸谷さん、6位は今回不調の鈴木さんでした。次回は瀬谷です。

 5月月例記録会記録CLG  5月25日(日)水元公園・晴・2〜3m/s、60秒MAX(10投)   
順位 選手名    R1  R2  R3  R4  R5  R6  R7  R8  R9  R10  F1/F2/F3   合計
1   春山      54  60  60  52  60  60  55  54  60   −   143    443
2   鈴木      60  44  23  60  30  30  60  60  60   −     03    303
3   石井(英)  53  31  60  42  53  60  25  51  48  60            291
4   倉田      43  43  39  60  60  24  60  32  57  49            286
5   河田      41  56  48  45  52  04  60  60  49  39            281
6   西原      57  47  60  28  60  33  50  32  44  40            274
6   岡田      34  19  60  60  23  60  26  21  34  60            274
8   佐藤      44  44  27  60  46  37  51  38  60  20            261
9   内山      49  46  36  35  31  35  36  34  35  47            214
10   乙川      11  32  32  31  60  18  03  46  20  31            201
11   大久保    05  03  24  60  21  17  60  03  10  09            182
12   川口(小)  12  11  14  05  09  18  37  17  08  15            101
13   加藤(勝)  13  24  15  12  15  25  10  19  02  15              98

 お知らせ                                                                  

■  松野順一郎さん、ご逝去                                        平尾・・・・D
  松野さんが、とうとう亡くなられました。誠に残念なことです。松野さんはグライダー
  のスペッシャリストとして、長い長い間ご活躍されました。世界選にもたびたび出場さ
  れて、体力の続く限りグライダーを引っ張りまわしていましたが、持病の糖尿病でじわ
  じわと体力を蝕まれて、とうとう6月3日に亡くなられました。長らくご自宅で養生さ
  れていましたので、いつも夏にはお見舞いがてら顔を出していたのですが、今年は間に
  合わず残念です。
  松野さんは最も古いFFグライダー屋として、数年前まで現役で活躍していました。松
  野さんに教わってグライダーに親しんだ人は数多くいると思いますが、グライダーの
  みならず模型飛行機なら何でも好きでした。その意味で沢山の人が松野さんと親しかっ
  たと思います。又、その人柄からか、よろず面倒を見る羽目になり、人知れず苦労され
  たこともあったようです。
  特に、競技会の混迷期に長らくFF委員長としてFF界の面倒を見てくださり、日本選
  手権やその他の競技会運営のスタンダードを築き上げて下さいました。当時からランチ
  ャーズのメンバーでもあり、何とか応援をしようと相沢さん共々競技会の運営に携わっ
  たのも懐かしい思い出です。おかげで、それ以降は波風が立つことなく開催できるよう
  になりました。
  ここ数年は野原にも顔を出さずに、たまに寄ると「もう一度飛ばしたい」と頑張ってい
  ましたが、遂に復帰はならず残念至極です。多分76歳かと思いますが、もう少し頑張
  って欲しかった。
  数年前に身辺整理の意味で、様々な模型用品と何機かのグライダーをランチャーズに頂
  いきました。残されたメンバーはこのグライダーを生かして、松野さんを追っかけて練
  習を積んで、上手くなって欲しいと思います。
  ご冥福をお祈りします。

■  水元公園の紹介 【夏期の飛行場】                               平尾・・・・D
1.場    所    東京都葛飾区東水元3丁目付近が入口です。江戸川の支流の小合溜川に
                囲まれた、親水公園です。川で千葉埼玉に分かれる場所です。
2.交通機関    JR金町駅から2.5km北、バスがあると思うが未調査。車の場合は
                首都高・ 加平出入口、京葉道路・市川インターで降りる。近くまではす
                ぐ行けるが、近くに行ってからが、少し解りにくいので地図持参が望ま
                しい。
3.広    さ    江戸川の支流の小合溜川に囲まれた、川縁の細長い親水公園で広さは2
                0万坪程度。飛行機用広場は350mの円形で、3m程の起伏がありま
                すが、地面は一面草(長さ10〜30cm)に覆われている。良い点は
                真ん中に何もないこと。但し、南西部分に細長い池があるが、狭く浅い
                ので飛行機の回収には問題がない。ラジコンと小型機のグループが地主
                で居る。
4.経済条件    入場料は無料、入場時間制限も無し。但し、駐車場は有料であるが、午
                前中で千円でした。収容台数1000台。午前中は混んでない様だが、
                午後は少し待つかも知れない。屋台風の売店が所々にある。食物飲物そ
                の他あり。
5.環    境    広場の周囲は高木低木がびっしりで、木陰は十分にある。バーベキュー、
                ンプ、植物園、冒険広場等様々なスペースがある。とにかくデカイ公園だ。
                自然の作り方が上手で、広場と森が上手く構成されている。外周部分は
                メタセコイヤの森で、ここに引っかかると飛行機は回収不能らしい。園
                内、自転車の使用は自由らしい。釣竿、タモ等持ち込み自由。
6.その他      東京都の公園としては、自由度が大きく、年齢に関係なく楽しめる。飛
                行機は小型は大丈夫、中型、大型は十分なケアーが必要。夏使える公園
                では最大の広場を持つ貴重な存在である。

■  2003年のランチャーズ合宿のご案内・飛行場のお知らせ                    E
  今年はFF世界選開催が7月後半になったので、合宿の日をずらせました。その代わり、
  合宿で世界選出場者に「世界選・幻灯と実演の夕べ」を開催して貰います。 乞う、ご期
  待・・・・
  8月16日(土)合宿の集合場所は今年も茨城県櫻川にします。場所を知らない参加者に
  は案内図を送ります。櫻川は平地で1400m×700m程の将来水田になる場所です。
  現在は地面の土が見えていますが、合宿の時期は一面の草原のハズ?でHLGでもすぐ
  見つけられます。  見通しも良く道路は自転車で走れますので回収は楽です。おだやか
  な日には安心して3分飛ばせますし、逃がしたにしても発信器が有れば回収は可能です。
  私は無くしてから1ヶ月後に連絡があり回収しました(但し、霞ヶ浦に沈んだらダメ)。
  宿舎場所から飛行場まで利根川沿いに約15Km程です。宿舎に直行の方は下記の「も
  との荘」においで下さい。電車で来られる方はあらかじめご連絡下さい。駅まで迎えに
  行きます。
  今回もFFに関して何か討議したいことがあればご連絡下さい。又、このチャンスに各
  自自分のノウハウをご開陳ください。 競技等はなくフリーですので存分に練習や、ダ
  ベリング、飲み会等自由にやって下さい。
  宿泊の施設は千葉県営老人福祉施設ですので、現住所に関係なく、60歳以上は割引に
  なるます。そこで年齢で参加費に差を付けました。体力に自信のない方もぜひご参加し
  て飛行機話しを肴にして飲みに来るだけでも大歓迎です。

1.開催日時    2003年8月16日(土)、8月17日(日)
                16日・午前7時−17日(日)午後3時まで
2.開催場所    茨城県櫻川村甘田(案内図を送ります)
3.集合場所         同  上
                注:足の無い方は事務局までご連絡下さい。
4.宿泊場所    千葉県老人休養ホーム「もとの荘」(案内図別添)
                  (和室16室収容人員72名)駐車場あり。
                千葉県印旛郡本埜村滝878(JR成田線小林駅下車)
                Tel.0476−42−4126
5.参加費用    8,000円/1人(但し、60歳以上は7,000円)
                但し16日の夕食を含む(アルコールと朝食は別途)参加費は当日徴収。
6.その他      競技はありませんので、各自練習調整等思う存分やってくでさい。
                但し、希望があれば企画します。(夕方6時までOKです)
7.締切日      予約は電話でもけっこうです。7月末までにご連絡下さい。
8.連絡先      千葉市美浜区真砂3−9−6  平尾
                пA043−278−0296(FAXも同じ)

 FF文化サロン                                                     

  過去にはF1Bのペラも「マックスウエル」方式か「改」が大多数であった。有名な
  「小堀ペラ」や「ジョン・デイピス」もこの範疇に入れて良いだろう(小堀さんから
  クレームが来るかな・・)。

■  マックスウエルプロペラ工作法について・2          石井英夫・・・・・E

  マックスウエルプロペラにみる6つの特質
  マックスウエルプロペラのような古典技法が、いまも現役として長寿を保っている理由
  はなんでしょうか。小生思うに答えはしごくカンタンで、とにかく作りやすい、その1
  点につきると思われます。しかもそこそこの性能と。そういってはこの話はおわりにし
  てもよいのですが、それだけですますにはしのびない気もするのです。大勢的には時代
  から離れつつあるマックスウエルプロペラですが、現にいま瀬谷自作プロペラの主役で
  あるだけに、こだわって古典技法の解明を試みたいと考えます。以下は模型界の常識と
  か定説とかに関係なく、あくまでも石井1個人の見解だということを、お断りしておき
  ます。

@  計算が一切不要です。
  プロペラ設計を本格的にやるとなると、方式にもよりますが相当めんどうな計算が必要
  です。
  マックスウエルでは好都合なことに、これが一切不要。このメリット1点だけで時代を
  超越し得たと小生はみています。
  実際の工作手順を見てみますと、
    (A)経験とカンで(この読みが大事)、機体特性やゴム量から、適合するプロペラ直
        径とピッチ直径比(ピッチ比)の見当を付けます。
    (B)ピッチ比が決まれば、マックスウエル法ではプロペラブロックの幅と厚みの比率
      (別表)がきまっていますから、素材に作図(別図1)して整形を行います。  
    (C)ブロックの稜線沿いに削り進むにつれて、ブロック下面はマックスウエル式ピッ
        チ分布に自動的に導かれます。ここがマックスウエルマジックというべきところ。
    (D)もうマックスウエルは関係がありません。このあと、ブレード平面やブレード断
        面(ここがプロペラ性能のキメ手)は作り手の自由裁量ですから、プロペラ性能
        を生かすも殺すもウデ次第。ここまでプロペラが仕上がるまでの手順で計算を要
        する箇所がまったくなし。

A  実績から性能は保証つき
  マックスウエル方式ほど多量に作られたプロペラはないでしょう。そういう意味での性
  能保証ですが、マックスウエルだから良い、というのとは違います。マックスウエルか
  らでもダメなプロペラはいくらでも作れます。

B  ブロック型がシンプルで、しかも美しい
  ブロック図を見てのとおり、曲線を一切使いません。単純な直線構成でシンメトリーの
  形が美しく、誰にでも作図が容易。愛好される理由のひとつと考えられます。姿かたち
  も大事な要素で、プロペラも美人でないと。

C  良くも悪くもマックスウエル式ピッチ分布
  プロペラ問題はここがいちばん厄介です。プロペラ性能を支配する?2大要素(ピッチ
  分布とブレード断面)のいっぽうですから、ここは少していねいに解説します。
  回転により空気を後方に送って進むプロペラの推進効率は、ピッチ分布(中心から先端
  部へかけてのブレード角変化)とブレード各部位の断面形の適否できまります。問題は
  ピッチ分布ですが、プロペラをすり抜ける空気流の実体がつかめないために、設計技術
  上いちばん悩ましいところです。
  プロペラは空気中を回転して進むネジだから(翼素理論といいます)、ブレードの部位
  も同じ距離を進む、つまり一定ピッチ(等ピッチ)方式が理屈じゃないかとする考え方
  があり、実際にそう作れらたプロペラもあります。他方プロペラは空気流を後方に送っ
  てその反作用で進むのだから(運動量理論といいます)、送風機として効率よく空気流
  を後方に送るシステムと考えるべきとする論があり、両論の折り合いを付けるピッチ分
  布で設計者は悩むわけです。  
  さて、問題のマックスウエル式ピッチ分布を「2図」に示します。図に見られる通り、
  かなり平坦からは遠いピッチ分布が独特です。半径の3/4位置あたりが盛り上がって
  公称ピッチの1.12倍ぐらい、公称ピッチは半径位置と先端位置の2点で、通常のピ
  ッチの呼び名とは違います。
  じつはここが問題で、世にマックスウエル嫌いがいるとすれば(以前の小生がそうでし
  た)、ひっかかるのはここです。中心部ピッチが最大値の半分にも満たない、中心部へ
  かけてのピッチのの下降線がさすがに急すぎる気がするのです。告白すれば、小生の過
  去の模型歴ではプロペラはすべて自設計のものを用い、マックスウエルとはほとんど無
  縁で通してきました。すべて自設計のものを用い、クスウエルとは無縁で通してきまし
  た。
  目からウロコといいますが、マクッスウエルを見直したきっかけというのは、ごく最近
  になって手を染めたライトプレーン経験によります。小生のライトプレーン経験という
  のは数例だけですが、空転用に験したマックスウエルが案外に好結果だったので、ナル
  ホドと認識を改めました。  極限を求めて競争のはげしい上級種目にまではどうかと思
  いますが、ライトプレーン用に限れば、マックスウエル式でもう十分といまは考えてい
  ます。ただし小生の場合は、中心部近い領域のピッチをもう少し豊か気味に、ブロック
  型を改変して使っています。
  ピッチ分布で、ひとつ思い出したことがあるのでつけ加えておきます。それは、その昔
  模型航空界を主導された旧帝大木村秀政助教授のご高説。マックスウエルプロペラのピ
  ッチ分布は、実機プロペラのそれに似ているので宜しいのではないか、戦時中に書かれ
  て名著とされた「模型航空機読本」にそうあったのを覚えています。

D  ブロック形は改変できます
  中心より部位のブレードが、推進力どころかブレーキになりそうで、純正タイプのまま
  では気に入らないというのであれば、ブロック形をいじることでピッチ分布は変えられ
  ます。小生の現役選手時代、欧米模型の図面によく見られた方式ですが、いじり過ぎて
  はそれでもマックスウエルといえるかどうかは疑問。それはそれで別法というのならか
  まいませんが、しかしそれをやって性能がどれほど良くなるか、それが問題。マクッス
  ウエル法でやるなら素直に純正形か、近い形のままやるのが正解じゃないのかと小生に
  は思えるのですが。

E  空転・折畳み、どちらでもOK
  そのまま使うなら空転式ですが、上級種目用に切り離して折畳み式にすることもできま
  す。その点、折畳み専用の石井式プロペラでは空転が不可。あたりまえですが空転と折
  畳みでは上昇性能は変わらず、変わるのは滑空性能だけです。
  
  むすび
  以上でマックスウエルプロペラの紹介を終わります。マックスウエル式プロペラは実用
  性もさることながら、プロペラ理論の理解にも好適で、この文もそこに留意して書きま
  した。プロペラ問題はここが入口で、ブレード断面形問題やゴムを含む機体特性との適
  合など、このあとに難しい問題が控えています。ライトプレーンでは比較的にラクです
  が、機体重量やゴム重量に制限のあるミニクープをはじめ上級種目に進めば、プロペラ
  への要求はいちだんとキビシイものになります。  模型ヒコーキをやってプロペラが面
  白いというのはそういうことですが、この文がゴム動力愛好家のプロペ理解への一助と
  なることを願っています。(図面は前号参照)  終わり


■  尻馬編・実技−翼端投げHLGについて・3           平尾・・・・・F

  翼端投げHLGのノウハウが次第に解ってきました。しかし、肝心の部分ではまだまだ
  解らないことだらけです。しかし、ノウハウが解らなくても模型飛行機は飛べばそれが
  正しいのですから、そんなに深刻になる事はありません。現在まででは、成功している
  のは比較的小型が多く、本格的な大型機はまだ決定版がありません。ここ2回の記録会
  での観察の結果、投げ方についてはほぼ見通しが付いたので報告します。

1.機体サイズは2分化されるか・その2
  競技会では複数の小型翼端投げ機(スパン60cm前後)が先行しています。しかし、
  小型翼端投げHLGの元祖・吉敷選手でも投げが決まらない事が多いのです。最近(5
  月)では相沢会長が翼端投げに懸命で、ほぼ投げ方も決まって往年の高度を取り戻して
  きています。しかし、滑空に入るまでのコントロールが野球投げよりは、はるかに神経
  質なので記録面では後一歩のところです。しだいに翼端投げの選手も増えてきましたが、
  その有利さがまだ十分には生かせず、ここ当分は野球投げHLGの王座はゆるがないで
  しょう。
  投げ方ですが、これまでの経験から翼端投げの成功率は50%前後とみました。野球投
  げの成功率が80%とすると未だ5割強及ばない事になり、データとして納得出来ます。
  4月の記録会には今関選手が展開スパン90cm(但し、翼弦は小さい)の翼端投げH
  LGで、見事にフライオフに残りましたが、最後の最後、投げをドジッテ2位に甘んじ
  ました。それを見ての感じでは90cm級ながら、まだベストの滑空性能にとどいてい
  ていないと感じます。今後微調整をすると大型の「滑空の良さ」に磨きがかかるはずで
  す。と言うのは翼端投げHLGの場合、素直に「返り」から滑空に入れる調整と、滑空
  後螺旋スパイラルの傾向はないか等々検討しながら、全体のバランスを根気よく詰める
  と、ある時点からガクッと滑空性能が上がります。
  我田引水ですが私が前回発表した大型HLGは90cmクラスで翼面加重11gですが、
  翼弦が大きいので滑空では見て解るほど有利です。

2.翼端投げHLGの「投げ方」研究  【ランチャーズ開発プロジェクト相沢、平尾】
2-1 野球投げHLGの場合(右手投げ)、右旋回気味に投げる。一般的に滑空は左旋回な
    ので、翼を地面に水平にして投げると、頭を上げすぎてヒューストンか、頂点で左に
    入って高度 を落とす。そこで普通はやや右に傾けて投げる(サイドスロー気味)。
    投げる方向は水平前方 に近い投げの人と、上向きに投げる人によって機体の傾け方は
    変化する。しかし、野球投げの場合、「返り」の方向は傾きによって相当正確に
    コントロール出来るし、返る位置もほぼ思い  のままである。
2-2 翼端投げHLGの場合も、右旋回気味に投げる。翼を掴むんで投げるので、翼を腕な
    りに水平より右向きに持つが、掴んでいる翼の上反角の大きさによって、機体は右向
    きから水平に近い向きになる。この機体を普通に前方上向きに投げると、持ち腕の関
    係から手を離れる直前では機体は左向きになり、そこで放された機体は当然左に入り
    過ぎて地面に突っ込む事になる。決して左旋回気味に投げてはいけない。
2-3 このように考えると翼端投げの場合の重要ポイントは、
      @上反角の大小に関わらず、機体 を右に傾けたまま投げる事。  
      A手が放れた瞬間から機体の軸方向に飛び出す持ち方をする事(ブラブラ握り)。
      B機速を付ける為に体ごと振り回す投げ方。
    の3つを守る事に尽きる。
2-4 さて「投げ方」だが、手首を曲げたまま、機体はブラブラの感じで掴むこと。これに
    よって機  体が離れる時、素早く軸方向に向いて飛び出す。次に腕もやや曲げたまま
    体の回転を利用して、機体を投げ出す必要がある。そして体を止めた時、手首は折れ
    たまま腕が体に水平に巻き付くよう(腕は肩より上にはいかせない事)に投げる。
    そうすれば機体はほぼ右向きに投げ出されて高度を落とす事は少ない。   
2-5 投げ方は横手投げ、又は円盤投げに近い。相沢会長のヒントとして、離すまで機体を
    見続けながら投げると体が回転してよろしいとの事。翼端投げHLGは大型小型とも
    低く投げ出す必要がある。とにかく低く投げ出すこと(上向きは不可)。
2-6 更に検討すると、大型機と小型機では投げ方が違ってくる。大型は慣性が大きいので
    腕を比較的伸ばして(手首はやや曲げたまま)体を回転させて投げないと速度がつか
    ないが、小型機は手首と肘を曲げたままで、握りはプラプラ気味に柔らかく握って、
    右に傾けて低くスナップ投げをすると高速で上昇する。
2-7 大型の場合も同様にプラプラの状態の握りで、手首と肘を曲げたまま投げるのが正し
    い。グリップの関係からもサンドペパーだけ(手の平は下を向く)の引っかけピン無
    しの方法は大型には不向きである。大型はグリップピンを付けて、プラプラの逆握り
    (手の平が上を向く)握りで、思い切り振り回して投げる事。こに握りだと腕が上げ
    られないので左に行かない。
2-8 翼面加重が小さい機体の場合は、多少上向きに投げて左に傾いても上昇の頂点でコロ
    ッと返る確率が高い。しかし、高度が稼げる様にやや重く作った機体では、極力水平
    に近い角度で投げ出すのが良さそうである。又、翼面加重の大きい機体は、主翼の向
    角(1.5〜2度)が必要である。

3.翼端投げHLGの上反角
  これまでの結果では、翼端投げで成功している機体の上反角(3段上反角等)は何れも
  大きいものが多い。特に、センター上反角が大きい方が素直に返る様だ。センター上反
  角を大きめにした2段上反角の機体だと、翼端投げ時に上反角のジョイント部分に余計
  な力がかからずに合理的である。高度を取るのに返りが良くない場合のチェック項目は、
    @ラダー面積が大きすぎる、
    A主翼上反角が足りない、
  のどちらかであると考える。特に主翼センター上反角の大きさが投げの頂点でコロッと
  返る要因の様で、翼端投げの「返り」に有利に効く様である。

4.翼端投げHLGのV尾翼について
  現在成功している翼端投げHLGの多くは何故かV尾翼である。これには小型翼端投げ
  HLGの第1人者・吉敷選手の影響が大きい様であるが、そればかりではなく、翼端投
  げとV尾翼は何故か相性が良いようだ。以下は、勝手な私論であるが・・・・・
  翼端投げの場合、機体を右に傾けて持っても、リリースの時点では手の甲は次第に上向
  きになる。そして機体は次第に左向きに近づいていて、投げ出される機体は左に行きた
  がっているが、上げ舵の付いているV尾翼(取付角120度)の場合は、どう傾いても
  尾翼の内の2枚が右旋回を助長して奇麗に返るようだ。こう考えるとV尾翼の場合は、
  機体の傾きを気にせずに投げられる可能性が大きいのではなかろうか。又、主翼にも向
  角を付けるた方が「返り」が良いはずである。実戦でやっている選手の意見や如何?

5.最適翼端投げHLG推薦モデルは「ゴールドラッシュ」タイプが良い
5-1 4種類作製  私は「ゴールドラッシュ」そのものの改造型@と、そのモディファイの
    A展開ス  パン70cm、機体重量60g、翼面積5.7dm2、翼面加重10.2
    g、及び、B展開スパン90c   m、機体重量102g、翼面積9.9dm2、 翼
    面加重10.3g、更に  C展開スパン100cm、機  体重量102g、翼面積
    11.2dm2、翼面加重10.3g、の合計4機のテストをした。
    いずれもプラプラ投げで素直に返る。不思議なことに展開スパン100cmが軽くデ
    カイのに  最も高度を取る。これはフラップ翼の性か。滑空性能は現在のところ、大
    きい分有利であるが  まだ未調整の部分がありその実力を発揮していない。 
5-2 推薦は@AとBである。翼端投げHLGに挑戦する場合のベストは@(ランチャーズ会報0
    3/2に図面発表)で、ゴールドラッシュの垂直尾翼を1.3倍程度に大きくして調
    整やり直せ(重量  バランスと右旋回滑空)ば即使える。ちなみに、私の機体は上空
    視界没となった。次に推薦す  るAは機体サイズをスパン70cmとして、滑空性能
    と使いやすさを考えた機体である。
    この大きさだと慣性の影響は比較的少なく、滑空性能もそこそこ良くて競技機として
    は、手  頃な大きさである。上昇も返りも素直であり、翼端投げHLGの入門機とし
    て推薦する。
    Bは発表した図面より随分と重くなっていて、主翼がグチャグチャになったので丈夫
    さを考慮  して厚翼(7%)に作り直したところ、機体重量110g、翼面加重
    11.2gとなったが、雑に投げ  てもきれいに飛ぶ。投げる時に相当の力が掛かる
    様で、改良点として竹のグリップピンが剪断  破壊したのでカーボンピンに変更した。
    大きいことのメリットと取得高度、滑空性能のバランス  が取れていて、現在のとこ
    ろ最適翼端投げHLG推薦モデルはBである。
5-3 いずれも垂直尾翼面積は野球投げHLGの1.3倍程度で良さそうである。但し、「
    返り」と  滑空旋回を主翼の左右の微妙な向角の差と左右の重量バランス、及びラダ
    ーで調整するの  で、ベストの滑空のベストポイントは非常に狭い範囲にある。従っ
    て、滑空調整は根気よく微  調整をする必要がある。(図面別添)

6.大型HLG機製作の注意点
6-1 ヒンジの補強・大型機ほど慣性の影響が大きいので、主翼取付部は大げさな補強が必
    要である。持ち運びの関係で主翼ホップアップ式にしたが、主翼とヒンジ部分に補強
    の面木(斜め材)を入れる事。これがないと墜落を繰返す内にヒンジが開いてしまい
    バカバカになる。
    又、機体がよじられてピン穴が大きくなってきてピンの部分が捩れて、ついには破損
    する。その為にヒンジは竹ピン等の余り強度が無いものを使い、外れやすいヒンジに
    するか、ピンが  折れる様に工夫をすると機体を痛めない。  
6-2 翼端部の補強・何度も投げると翼のグリップ部分が破損するので、翼端投げHLGの
    主翼端部は厚く丈夫に作る。且つ、和紙やカーボンによる補強が有効である。
6-3 胴体前部の補強・胴体前部は短か目にして、且つ、丈夫に作る。突っ込んだ時に胴体
    がよ  じられて、胴体が折れるないように板厚や高さを大きめにする。
7.終わりに
  翼端投げHLGは後期人類には朗報です。これであれば80才までは現役でやれます。
  しかも優勝を狙う事も十二分に可能です。私でも取得高度は現役バリバリと遜色ありま
  せんし、イヤ、それ以上の高度が大型機で狙えます。現在までの最高年齢優勝は古矢さ
  んですが、今後は私が取ります。誓う!!!  肩に自信のない人は全員集合・・・・・

  今回の記事で、「翼端投げHLG」の巻は終わりとしたい。続けているとF1Bの練習
  が出来ないで往生している。と言うよりも「翼端投げHLG」は面白いのである。肩へ
  の負担も少ないので長時間続けられて時間が足りない。今後は優勝のために秘密練習を
  する。

■  グライダー・カーボン翼の製作のヒント                    平尾・・・・G
  高強度のグライダーを作製するには、カーボン材の使用が断然有利である。胴体は無論
  の事、特に主翼はカーボン素材を多用したい。今回のロングスパンは無論のこと、現在
  のバント離脱方法はカーボン翼無くしては不可能事であった。カーボン翼グライダーは
  高速でのカタパルトランチ離脱時に5〜8mは上昇する(滞空性能は+20秒は固い)。
  又、主翼に狂いがなければ強風時のサークリングも何ら問題がない。以下、参考までに
  材料の入手方法、価格、そして使い方作り方について、私の粗雑なノウハウを惜しげも
  なく公開する。

(1)素材の購入
  日本では、カーボン素材一式を出口工房で入手出来る。自分で考えている寸法の材料が
  無い場合は、その近辺のサイズでまかなう事を進める。以下に参考価格を示す。

1.翼  F1B用の主翼尾翼のカーボンスパー一式(前後縁材、補強用スパー、リブキャ
        ップ等)で2,500円。これ以外に、F1B用のDboxカーボンカバーシー
        ト530×80×0.1×4枚で合計で2,000円、合計で約5千円で一式が
        揃う。当然ながら、F1B用のみでは強度不足なので厚みを変更した。その他の
        材料として、ケブラー糸(釣り糸で代用可)、接着剤(エポキシ、瞬間)、バル
        サ材、ジョイントパイプ、クリヤードープ他、

2.胴体部分  頭部はベニヤ、バルサ、檜材の混成、後部はカーボンパイプ6〜9φ、フ
        ックはインターネットで購入するか、国内ではグライダー屋さん他(土肥、和田
        氏等)に聞いてみる事。手持ちがあるとわけてくれる。欧州製のプラスチックフ
        ックが入手出来れば、これが使いやすい。サークリング、滑空、ズーミング時の
        旋回調整がフック廻りの3本のネジで全てできる。1個5千円程度。タイマーは
        国産KSBか、ロシア製で2500〜5000円。このクラスではバント機構は
        無くても勝てるが、この機構を組み込むにはKSBでは出来ない。

(2)カーボン翼の製作手順
    1.内翼Dボックス、重量20g
        まず内翼のDboxを作る。最初はスパーの作製(長さ530mm)。グライダ
        ーではこの部分が重要で手が抜けない。スパーは心材に檜2×4〜5×530に
        ハードバルサ1〜3×4〜5を瞬間で接着し、高さ幅とも削ってテーパーを付け
        る。これに上下にカーボンシート3〜5×0.6をエポキシで付ける。この後、
        翼根本部分のハードバルサをえぐってジョイントパイプ(真鍮パイプ4φ×長さ
        5cm)をエポキシで埋め込み接着する。次に根本部から25cmまで檜部分に
        カーボンシートを縦方向に瞬間で接着しケブラー糸で巻きエポキシを塗る。これ
        が出来たらソフトバルサの前縁部材を瞬間で接着して翼型前縁を削り出す。前縁
        の先端にには挫屈防止のカーボンスパー(0.4×1.5)を入れる。この後接着剤の
        吸込み防止に薄めたクリアードープを2回ほど塗る。
        これからが一番難しい所で、この心材とカーボンカバーシートに薄めたエポキシ
        (シンナーで2倍程度に薄める)を塗り、これをアルミ材等に固定して固まるま
        で置いておく。なるべく高温に保つこと(但し100度以下)。1つの方法は、
        アルミに固定したまま黒いビニール袋に入れて密封して炎天下にさらす。冬の場
        合はストーブの前に置いて固める。

2.外翼のDボックス、重量7g
      スパーは檜2×3〜4にソフトバルサを瞬間で接着して翼型に削る。前縁には挫屈
      防止のカーボンスパー(0.4×1.5)を入れる。(この場合はスパーの上下にカーボ
      ンスパーは不要)。そしてエボキシが浸みない様に2回ほどクリアードープを塗っ
      て乾かしてから、心材とカーボンカバーシートに薄めたエポキシを塗ってアルミ定
      規に固定して接着する。完成してみるとやや撓みに弱いので、檜部分に縦にカーボ
      ンシートを接着した。

3.リブの作製
      総テーパの翼型なので、根本部分と翼端の2枚(更に正確にやりたい方は2分割し
      て4枚にすると良い)のリブをパクトラのベニヤで作製し、この間に必要枚数+1
      0枚程度のバルサ短冊(サイズは10×110〜60×1.5mmのバルサ70枚と
      して厚さ105mm)を挟んで、手揉みドリルで0.9mm程度の穴を1本貫通さ
      せて、そこにピアノ線を貫通して全体を翼型に削り出す時にブロックを動きにくく
      する。Dboxの部分を長めに作ってそこは瞬間で接着し仕上がった後切断する。
      リブの削りだしは時間をかけて焦らずに丁寧にやること。上下片面ずつ仕上げるこ
      と。且つ、仕上がった面にはテープ張りして動かないようにする。リブの出来不出
      来で翼の性能が決まるので丁寧に時間をかけてやること。

4.翼の組み立て
      これまではジグを作って組み立てていたが、今回のように1機しか作らない場合は
      面倒なので、ジグ無しの簡易方法で作ることにした。
  4-1.内翼、外翼2枚ずつを組み立てるが、それぞれの翼の一番外側のリブをフルサイズ
      でやや厚め(4mm)に(ハードバルサ)作製し、これをDbox材と後縁材にキ
      チンと固定し接着する(翼型を正確に確認する)。さらにリブキャップでがっちり
      と補強する。これを4枚作る。これで  翼パネルの外輪郭が出来上がる。
  4-2.これをセロテープ等で製作板(平板)に歪みが出ない様に固定する。この場合、接
      着剤が板  に付かないようにセロテープを貼っておく。翼を固定する前にDボック
      スの下面にセロテープを  貼り付けて取付け位置をマジックで記入する。後縁部分
      のセロテープにリブを留める寸法をマ  ジック等で記入しておく。この後バルサリ
      ブをここに瞬間で接着する。リブの嵌め込みはリブを  左右翼で交互に組み立てる
      こと。そうすることによって左右揃った主翼が出来る。全リブが付け終わったら位
      置が正確かどうか確認する。
 4-3.次に上面のリブキャップを高粘度の瞬間で貼る。この時、リブキャップの端々をセロ
     テープで仮止めする。この作業は2枚同時に行うと接着時間があるので丁度良い。ほ
     ぼ出来上がったら製作板から外して、捻り強度や撓みをチェックして、各部の接着の
     ぐわいを確認する。
 4-4.次に翼を裏返して、後縁を作業板にセロテープ等で仮止めする。後は 4-3と同様の手
     順で下  面のリブキャップを接着する。
 4-5.翼の接着が終わったら全体の接着ぐわいを調べて、問題が無ければバリを丁寧にカッ
     ターナイフやサンドペパーで削り取る。又、出っ張り部分も丁寧に平らにする。

5.翼どおしのジョイント
    上反角を決めて、ジョイント部分のリブをその角度に削る。このジョイントはエポキ
    シのみで接着する。下手に補強をするとDボックスまで壊れて補修が大変になる。最
    近の傾向は上反角は少なくなって、スパンが大きく(1800mm)ても120mm
    程度が多い。この程度でも十分に安定して飛ぶ。滑空安定向上の結果であろうか。

6.表面材の貼付け  (フィルム・エアースパン 0.25g/10cm2)
    最近は紙張りは減ってきてフィルム張りが多い。利点としては塗装がほとんど要らな
    いか、簡単ですむ事。又強度があるのと、経年変化が小さいので長年張り替えの必要
    がない。剥がす時もアイロンを当てると奇麗に簡単に剥がれる利点がある。
    貼る時の接着剤は「スコッチ3M」の「強力接着剤」(ガラス)を愛用している。透
    明で接着強度も大きい。これをシンナーで2〜3倍に薄めて筆でリブに塗り、程良く
    乾いてからアイロンで接着する。貼る前にフィルムをよく引っ張って板に貼付けてお
    いて、その下にリブを挿入してアイロンで点付する。歪みが無ければ全体をアイロン
    付けする。その後、弛みをアイロンでとる。カーボン翼の場合は、翼強度が十分なの
    で張りが強くても曲がることは無い。   

7.塗装
    クリアードープで2、3回塗装する。ピカピカにしたければ。ポリウレタンクリアー
    を5倍程度薄めて2、3回塗る。
    以上製作のヒントになれば幸いである。それにしても、メンドーな事になったもんだ!!!