◎ 名前:大村和敏
◎ 作成日:2013.8.31(土) 19:31

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LDA翼型と、LPの空転ぺラとの相性

新・平城宮規格LP競技が始まったとき、削減された動力に対処するために翼型の抗力の削減が検討されました。いうなれば、大型機で提唱されているLDA翼型のLP版です。

現在の「LDA(low drag airfoil だと思いますが)」の厳密な定義はあるのでしょうが、「LDA的」な考え方の翼型は昔からありました。
1960年ころ、AEROMODELLER誌上に「Is undercamber necessory?」(翼型の下面の凹みは必要か?)という風洞測定を基にした問題提起の記事が掲載され、有名なFF競技者による数回の討論の続編がありました。この討論で「下面凹みのない」高性能翼型として提案されたのは、ゲッチンゲンGoe795,796で、クラークY、クラークY8%類似のフラット翼です。
作りやすい汎用の、初心者向きの翼型のほうが、下面が凹んだ現用の競技用翼型よりも、滞空性能がよいというショッキングな結論だったので、議論が沸騰したわけです。

「滞空性能がよい」ということを厳密に数値で示せば、(CL^1.5/CD)の値が大きいことです。括弧内の数値は「滞空数」、「上昇数」と呼ばれる場合があります。
揚力係数CLは、当該翼の迎え角で定まりますが、それに対応する 抗力係数CDには3つの場合があり、それぞれ個別に評価する必要があります。
まず、翼型特性データにあるような、縦横比無限大の場合の、翼単体の場合です。これは、翼型そのものの性能が明確に示され、その良否で翼型の第一次選択ができます。
2番目は、現実の縦横比の場合で、上記の分母のCDに誘導抗力が加算されます。
3番目は、2の翼を現実の機体に取り付けた、全機の空力特性の場合で、上記の分母CDにさらに胴体や尾翼などの抗力が加算されます。競技などの現実の滞空性能に対応するのは,この場合の滞空数です。
アンダーカンバー論争のとき、クラークY類似のゲッチンゲン翼型の特性データの滞空数は、確かに当時のアンダーカンバーつきの滞空競技用翼型よりも大きかったようです。当時はLDAという呼び方は行われていなかったものの、これらのフラット翼は低い抗力で高性能を発揮するわけでしたから、そのハシリといえます。
しかるに、当時の機体は縦横比は低く、胴体も太い、主翼に追加される抗力が大きい設計でした。だから、全機ベースでは、分母のCD値は翼型単独の場合よりも大幅に大きくなり、分子のCL^1.5の大きいアンダーカンバーつきの高揚力翼型の全機滞空数が高くなったのです。


エンジン機の場合は、滑空性能よりも上昇中に抗力が低いことが重視されますから、昔からLDA指向が見られました。フリギスのベネデックB8363b、コノバーのナイフエッジ翼などがその例になります。
F1Bの世界でも、縦横比の拡大・有害抵抗の削減が進み、翼型単独のCDと全機CDとの差が縮小してきました。平行して動力ゴムの切り下げが進み、バースト期の急上昇が追及された結果、LDA的翼型が模索されたようです。その例として、ベネデックが自身の世界選手権参加機に使用したB6405b、ライヒのベネデックB8556b、ボブ・ホワイト翼型などがあります。
筆者は、1958年からMVA123を使いました。当時としては、相手機が9%厚翼型でしたから、高速急上昇するLDA翼型だと思っていましたが、現在の環境で見るとこれでも遅く見えます。

LDA翼型の「抗力が低い」という特長は、滞空時間全体にわたるものではなく、一部の短期間で強烈に発揮され、性能向上に貢献するもののようです。 
エンジン機は、上昇と滑空が明確に異なる飛行モードであり、上昇モードの抗力の大小がトータル滞空時間を決定します。「ゼロ揚力角のCD値が低い」ということが、翼型選択の重要条件になり、その制約下で滑空特性が検討されます。B8353bやナイフエッジ翼などはこの考えで選択されたわけです。
この種の翼型の滑空釣り合いは、滑空専門のアンダーカンバー翼に比べて低CL・低CDで、速度も速くなりますが、そのような滑空が目的であった訳ではなく、上昇時の抗力を極力低くしたためにやむを得ずそうなったわけです。つまり、LDA翼型の、滑空時の低CDは、その特質・目的ではなく、滑空はCD値にかかわりなく最適化すればよいのです。

ゴム動力機の場合も、低いCD値で稼ぐ期間はバースト期の前半だけで、時間にすれば10秒くらいのことです。曳航グライダーの場合は、カタパルト発航、バントの間で、これも数秒の期間です。両機種とも上記以外の飛行時間は、CD値にかかわりなく、単純に滞空性能を追求すればよいのです。
それどころか、全機ベースの滞空数の算式CL^1.5/CDの分母には、揚力を持たない有害抗力が加算されますから、それを相殺するには大きなCLが望ましく、その結果としては主翼CDも大きくならざるをえません。
同時に、飛行速度が低くなると、有害抗力の相対的な大きさが低下します。つまり、同じ機体でも、低速で飛ばすほど、胴体や尾翼の抗力の負担が小さくなるのです(あとで詳述)。
このようなアヤがあるので、LDA翼型が優位になるには、たとえば上昇過程において大きく荒稼ぎしておかないと、滑空過程の損失で赤字になる可能性が大きいのです。

ライトプレーンは大型機に比べて、縦横比が小さく、有害抵抗が大きく、その中でも空転プロペラという特別に大きな抗力発生源を抱えています。だから、上記のアヤも強力に働きます。
LDA的な翼型をつかって滑空速度が大きくなる(小さなCLで飛ばす)場合は、そのデメリットを算定して、それだけの荒稼ぎが可能であるか、事前に見積もる必要がありそうです。(続)



◆2013-9-59:59:2 久保 − 図とか写真とか有れば素人にも解るかもと思います。

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