◎ 名前:趣味際人
◎ 作成日:2012.2.24(金) 18:42

  上昇に特化したゴム動力機の設計     以前内容以後内容    

現在のゴム動力競技は滞空種目だけであり、設計は滞空性能を最大化することが目標です。
上昇性能は重要ではありますが、最終目的ではありません。
上昇競技用のゴム動力機を設計するとき、高性能な滞空競技機は参考になりますが、そのままの流用では限界があります。たとえば、滞空時間の大半は滑空であり、主翼は沈下速度を最小化するべく設計されています。上昇競技ならば滑空は不要ですから、上昇だけに特化した主翼に出来ます。
しかしながら、ゴム動力はバーストとクルーズの二つのモードがあり、クルーズの上昇性能の良否は滑空性能の良否におおむね一致します。つまり、大面積で縦横比が大きい主翼が有利です。これに対して、バースト期は抵抗が少ないことが望まれ、CLが小さいので小縦横比・小面積が有利になります。
だから、滞空機よりも主翼面積は小さくなりますが、2つのモードの対立から極端に小さくは出来ません。

翼型についても滑空(沈下速度)について考える必要がありませんから、カンバーの少ない高速型のLDAタイプやF1C用、HLG用が選択されそうです。使われるCL値は小さいので、誘導抗力は小さく、縦横比も小さくてすみます。
また、HLGのように重心位置を後退させることによって、取り付け角差を小さくしたほうが、滑空時の沈下は増えても上昇は良くなりそうです。

45度程度の大仰角で高度を測定すると精度が高いので、流される距離を制限するために 測定時間上限(≒モーターラン)を制限する必要が生じます。従って動力ゴムの搭載比は、滞空型よりも低く制限しておきます。
計測制限時間は、最適または平均的なモーターランと同じくらいに設定されますが、選手としてはそれを基準に実際の時間を選択することになります。
モーターランが長ければ、エネルギーが沈下する機体を浮かせるのに向けられ、上昇高度は低下します。但し、過度に急上昇で対気前進速度が滑空速度より大幅に高ければ、それだけ空気抵抗が増えますから、エネルギーは速度を維持するために消費され、上昇高度は低下します。
この条件を織り込んで、ゴムの条数・フック間隔・巻き数が選択され、プロペラが設計されることになります。滞空機同様に、最終的にはプロペラ勝負になるでしょう。
但し、上昇競技の場合は、滑空の必要がありませんから、折ペラはもちろん、空転装置も不要です。その代わり、可変ピッチ・可変ダイヤは効果があるはずで、余裕があれば使いたい機構です。
DTは、上昇終了(モーターラン終了)時に作動させますから、動力ゴムのたるみを感知してポップ・アップさせられます。火縄・タイマーは不要です。

余談として、日本の模型航空の戦後復興初期の駒沢(昭和30年ころ、現・オリンピック公園)のガスフリーの飛行パターンに触れておきます。飛行場所に使われたのは現・駒沢通り南側のくぼ地部分で、せいぜい300mくらいの広さです。その広さで15付のFAIパワーや、それより大きなB・C級まで飛ばしていました。モーターランは15または20秒の時代で、上昇終了直後にDTを作動させて辛うじて場内に下ろせます。
この状況でもっぱら上昇高度を評価して、その状態で日本選手権に臨んでいたわけです。つまり、「上昇競技」の成績を元に、滞空競技本番に参加していたことになります。
当時の東京勢の上昇高度はトップレベルでしたが、滑空飛行はイマイチでした。



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