◎返事対象記事⇒  LDA翼型と、LPの空転ぺラとの相性(大村和敏)


 
◎ 名前:大村和敏
◎ 作成日:2013.8.31(土) 19:45

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LDA翼型と、LPの空転ぺラとの相性(続)

(承前)
設例として、以下のような新平城宮級のライトプレーンの仕様で考えて見ます。

スパン600mm、主翼面積4.6平方dm、自重20g、ゴム3g、全重23g
プロぺラをはずした L/D=7、 したがって抗力=23g/7=3.3g

標準翼型のCL=0.8、
全機CD=0.8/7=0.114、
     うち主翼70%、CD=0.080、D=2.3g
     胴体・尾翼など残り30%、CD=0.034、D=1.0g
飛行速度=1.26×(23g/(4.6平方dm×0.8))^0.5=3.15m/秒
沈下速度(プロペラの抗力なし)=3.15m/秒/7=0.45m/秒

これに空転プロペラの抗力を追加します。。
空転プロペラの抗力については、CFFC掲示板で推定しましたが、1.5〜2gくらいです。
仮に1.7gと想定すれば、全機抗力は 3.3g+1.7g=5g
     全機CD=0.174  L/D=23g/5g=0.8/0.174=4.6
     全機CD=0.174=主翼0.080+プロペラ0.060+胴体・尾翼など0.034  
     全機CD=0.174(100%)=主翼46%+プロペラ35%+胴体・尾翼など19%
     沈下速度(空転プロペラ)=3.15m/秒/4.6=0.685m(0,45m/秒の1.52倍)
空転プロペラは、ライトプレーンの滞空性能を抑制する上で、きわめて有効なようです。


上記の仕様・性能の機体の主翼を、CL=0.7で同じ滞空性能(滞空数)のLDA翼に変更した場合の性能を推定して、比較してみます。

上記の標準翼型(CL=0.8、CD=0.08)の滞空数は、
     CL^1.5/CD=0.8^1.5/0.08=8.95
CL=0.7で同じ滞空数になるためには、CD=0.066くらいになり、標準翼型CD0.08より0.014減らさなければなりません。ただし、その半分はCLが0.8から0.7に減ったことによる誘導抗力減小で埋められます。残りの半分をカンバーの減少や変更によって達成できれば良いわけで、不可能な想定ではありません。

まず、CLが0.8から0.7に減ることによって、飛行速度が増えます。
     LDA機の飛行速度=1.26×(23g/(4.6平方dm×0.7))^0.5=3.37m/秒

その結果、機体各部の抗力は、速度比(3,37/3,15=1.07)の2乗の1.145倍だけ増えます。この増加率は、CL比の逆数(0.8/0.7)と同じです。 したがって
     プロペラの抗力=1.7g×1.145=1.95g(0.25g増)
     胴体・尾翼などの抗力=1g×1,145=1,15g(0.15g増)
主翼は、翼型変更によってCDが変わりましたから
     主翼の抗力=1/1.6×0.066×4.6平方dm×(3.37m/秒)^2=2.15g
     全機抗力=1.95g+1.15g+2.15g=5.25g
     L/D=23g/5.25g=4.38
     沈下速度=3.37m/秒/4.38=0.77m/秒

前述の、標準翼型のCL=0.8の場合は
    沈下速度(空転プロペラ)=3.15m/秒/4.6=0.685m/秒
でしたから、それに比べて0.085m/秒(12.4%)も沈下速度が増えています。
LDA翼型(CL=0.7)モデルの性能推定を行うとき、滞空数を同じに想定しましたから、この沈下速度増加は主翼の責任ではありません。
責任は、空転プロペラ、胴体、尾翼などの、揚力に貢献しない、主翼以外の有害抵抗発生要素にあります。上記のLDA機の計算では、この部分は飛行速度増加によって全機抗力の8%くらい抗力が増え、それだけ滑空角を大きくしています。さらに、CL減少によって滑空速度が増えた分だけ沈下距離も大きくなります。


抗力D、抗力係数CDは、通常は全機まとめて扱い、性能計算・評価に使います。
抗力係数に機体の大きさ(主翼面積)と空気密度を掛け合わせ、それに飛行速度の2乗を掛けたものが抗力(グラム単位)になるわけです。ただし、これはドンブリ計算であり、プロペラ、胴体、尾翼などの個々の抗力計算(個々の大きさ、個々のCD)による個々の抗力値(グラム)を合算して、主翼面積ベースのCD値に換算したものにほかなりません。
一定のCL値・飛行速度のときはドンブリ勘定ででかまわないのですが、上記比較のようにそうでない場合は、個別構成によってアヤだ生じます。
たとえば、CL値を下げて飛行速度を増やした場合、主翼のCD値は減少するでしょう。これに対して、胴体・プロペラなどの揚力面に関係のない部分のCD値は変わらず、上記の要因(滑空角と速度の増加)によって抗力は増加します。その結果、これらの主翼以外の部分の、全機抗力・抗力係数に占める構成比は大きくなります。
通常の性能計算では、両方が相殺されるので影響は少ないのですが、空転プロペラのように抗力の構成比が大きい有害抵抗発生源を検討する場合は、個別に分解するとそれによって見えてくることがあります。

今回、有害抗力の部分を個別に計算して積み上げた結果、空転ぺラ装備機の大幅な性能低下と、その責任分担が明らかになりました。空転プロペラは高速滑空に調整した場合、沈下速度を大幅に増やす原因になる可能性が大きいのです。
上述の試算では、沈下速度は0.685m/秒から0.77m/秒まで12.4%悪化しました。モーターラン15秒・滑空45秒という想定ならば、空転プロペラの抗力が悪影響を与える期間は3/4で、12.4%のうち9%強だけ挽回すればよいわけなのですが、はたして可能でしょうか?

LDA翼型のミソ・稼ぎところは、揚力係数がゼロに近い時期の低い抗力であり、バースト初期の急上昇にそれが発揮されるはずです。標準翼型機の上昇高度が50mならば。LDA翼型機は5mほど余分に上昇すればメリットがあるわけですが、筆者にはかなり重い負担に思えます。
折たたみプロペラを付けさせてもらえれば、滑空中のプロペラの抗力が1/5くらいに減るようで、主翼以外の抗力は略・半減します。したがって、初期上昇で差をつけなければならない目標は、上記の半分の5%くらい、高度差3m程度ですから、手の届く範囲だと思います。
上記のようであれば、LDA翼型と空転プロペラとの相性は如何なものでしょうか?

以上は筆者の机上計算です。実務的に問題を解決された諸兄が居られるかも知れません。
また、設例機の基本設計にしても、最近はやりの大縦横比を想定しましたが、在来機のように太めの主翼にすれば、滑空時のCLを下げたときの誘導抗力の減少幅が大きくなり、滑空角の増加の一部を相殺できます。
さらに、空転プロペラそのものの設計研究によって、空転・滑空中の抗力を削減できれば、損失は低減できます。
競技者諸賢のご意見を賜れば幸いです。





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